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交差する線

【 交差する線 】

子供の頃から紙には表と裏があると教わってきた。しかし、紙作りとは楮や三椏、芭蕉など植物の繊維を利用した貴重な物であり、表と裏とは製造工程により生まれる凹凸のあるなしの違いであった。どちらの面が描きやすいかという概念を外し、両面に彩色してランダムな帯状に切り、編み込んでいく作品から「交差する線」のシリーズが始まった。

平面の中の奥行きや編み込んだ時に現れる表情は新たな発見の連続で、予想外の表情や色が現れた時はワクワクしながら思考をめぐらし次の手を考える。
編み込む事で像や色が重なり、新しい姿やリズムが現れる事が興味深く、色やサイズ・素材を変え作り続けている。

ー制作に取り入れている「紙織画」についてー
李朝時代に大陸で制作されていた技法であり、絵を縦方向に細く裁断し同幅に切った竹紙の帯を織物の様に編み込んでいく事で絵柄が互い違いに見え隠れする絵画表現。
当時は透明感を出す効果があるとも言われていた方法で、絵画表現というよりは工芸として浸透していたという。